記事番号 0012 / AIとの対話

AI時代のデータは、どう流通するべきか――利用する側の義務、利用される側の権利

AIとの対話

AIが大量のデータを扱う時代に、出所と利用条件を保ちながら配布負荷を分け、必要なら対価も戻す仕組みを考える。

AIに使わせるためのデータを、手元に集めておきたい。

自分でAIを使っていると、そう考えるようになった。必要になってから探すだけでなく、先にいろいろな資料を集めて、何に使うかは後から考える。そんな使い方をしたくなる。

そこで気になったのが、みんなが同じことを始めたらどうなるのか、ということだ。

人間が一人ずつ読むためのアクセスと、AIが大量の資料を集めるためのアクセスでは、規模が違う。多くの人がそれぞれAIに収集を任せ、同じ配信元へ何度も取りに行けば、サーバーにもネットワークにも負担がかかる。

さらに、集めたデータが加工され、その結果がまた別のAIに使われるようになれば、元の情報がどこから来たのかも分かりにくくなる。

AI時代には、データの使い方だけでなく、配り方と、その利用を支えるルールを一緒に考える必要があるのではないかと思う。

全員が、元のサーバーへ取りに行く必要はあるのか

同じデータを、すでに誰かが持っている。その人から受け取れるなら、全員が元のサーバーへ取りに行く必要はないはずだ。

イメージとしては、昔からあるP2Pのファイル共有に近い。データを持っている人が、次に必要とする人へ渡していく。

そこに、出所や利用条件を確かめられる仕組みを組み込みたい。

誰が公開したデータなのか。どの条件で再配布できるのか。元のデータと同じものなのか、加工されているなら何をもとにしたものなのか。それを確認できる状態で、データを回していく。

こうすれば、元の配信者だけが配布の負担を背負わずに済むのではないか。近くの配布先や、すでに取得されたデータを活用できれば、重複した長距離転送を減らす余地もある。

もちろん、配布先を増やすだけで通信量全体が減るとは限らない。どこに保存し、どこから渡すかまで含めた仕組みが必要になる。それでも、「必要な人は全員、元のサイトへ取りに来てください」という形から変える価値はあると思う。

利用する側の義務、利用される側の権利

私は、自分の公開した情報がAIに使われること自体には、前向きだ。

人間も、他の人が作ったものや考えたことから学んでいる。そうした利用や模倣を、すべて拒みたいわけではない。

ただ、人間が一つずつ扱っていたものを、機械が大量に収集し、加工し、再配布するようになれば、規模も、提供する側の受け止め方も変わる。使われることを認めるのと、どんな条件でも構わないというのは別の話だ。

そこで必要だと思うのが、利用する側の義務と、利用される側の権利を、確認できるようにすることだ。

利用する側には、どの条件なら取得・加工・再配布してよいのかを確認し、安心して使えることが必要になる。その条件に出所の表示や対価の支払いが含まれるなら、それを守る。

提供する側には、自分のデータについて利用条件を示し、その条件に沿って扱ってもらえることが必要になる。可能であれば、どのように利用され、広がっているのかも分かってほしい。

ここで考えているのは、すべての利用を提供者が自由に制限できるといった、現行法の説明ではない。これからのデータ流通に、どんなルールや仕組みを備えたいかという提案だ。

条件が分からないまま集める側も、何が起きているか分からないまま使われる側も、不安が残る。その間を埋める仕組みがあってほしい。

少額決済は、データを回すために使う

ここで、少額決済が意味を持つ。

例えば、データを受け取るときに、ごく少額を支払う。その一部は元の提供者へ、別の一部は実際にデータを届けた配布者へ渡る。そんな仕組みを考えられないだろうか。

元の提供者には、データを公開しておく理由ができる。再配布する側にも、保存容量や通信回線を使って届ける理由ができる。利用者は、認められた条件で必要なデータを受け取れる。

無料で使ってよいデータなら、その条件で流通すればいい。すべてを有料にする必要はない。

私が少額決済に期待しているのは、こうした選択肢を増やし、流通を支える役割だ。

単に「読まれたら作者にお金が入る」という話だけではない。データの提供と配布にかかる負担を分けながら、使いやすい状態を維持する。そのための仕組みとして考えている。

加工されても、出所をたどれるようにする

流通させたいのは、元のファイルのコピーだけではない。

あるデータを材料に別のデータが作られ、それがさらに次の生成や加工に使われる。その流れでも、何をもとにしたのかをたどれる記録が残っていてほしい。

同じファイルを再配布する記録と、加工・生成の材料として使った記録は、別々に考える必要がある。後者には、AIや加工する側が実際に何を使ったのかを記録する仕組みも要る。

ブロックチェーンに記録を置けば、使われた材料が自動で分かるわけではない。だから、記録を残す基盤だけでなく、データを扱う側の協力や共通のルールも必要になる。

それでも、出所と利用条件を引き継げるようにすることは、再配布を認めやすくする土台になると思う。

広く配ることと、元の提供者とのつながりを残すこと。その両方を実現したい。

例えば、BSVで実現できないだろうか

この仕組みの候補として、私が個人的に期待しているのが、BSV(Bitcoin SV)だ。もともと推しているブロックチェーンでもある。

大量のデータが人から人へ、サービスからサービスへと渡っていくなら、その流通を支える記録や少額決済にも、大きな処理能力が必要になる。

BSVのノードソフトウェア「Teranode」について、開発側は2024年5月、世界各地に配置した6つのノードによる試験で、毎秒100万件を超えるトランザクション処理を2週間にわたって平均で維持したと報告している。公式の試験報告

これは試験環境での結果であり、ここで考えているデータ流通の仕組みが実用化されたという意味ではない。それでも、この規模の処理が可能なら、大量の流通記録や少額決済を扱う構想にも、現実味が出てくるのではないか。

私の考える役割分担は、データ本体を届ける仕組みと、その出所・利用条件・支払いを確かめる仕組みを組み合わせることだ。BSVには、その記録と決済を支える役割を期待している。

実際の費用や、正しくデータが届けられたことを確かめる方法など、詰めるべき点はある。BSVは具体的な候補の一つとして挙げている。

広く使えて、使われる側も納得できる仕組みへ

AIが大量に情報を扱うようになるなら、そのたびに全員が元の配信元へ取りに行く形には、無理が出てくるのではないか。

だから、データは認められた条件で分け合えるようにする。配布の負担も分ける。そのうえで、元の提供者や利用条件を確認でき、必要に応じて対価も戻るようにする。

利用する側が、安心して使える。利用される側も、どんな条件で使われるのかを示せる。その関係を保ったまま、データが広く流通していく。

サーバーやネットワークへの負担を分散しながら、利用する側の義務と、利用される側の権利も支える。

私がブロックチェーンに期待しているのは、そうした用途だ。


この記事につながった対話

※過去の対話から、この記事の論点に関わる部分を抜粋・要約しています。逐語引用ではありません。AIの応答も、議論の中で示された提案として掲載しています。

私:収集する側として感じた問題

AIに渡す材料として、ローカルにデータを保管しておきたいという欲求がある。とにかくデータを集めて、後からどう使うか考える。みんながこれをやり始めたら、回線や参照元のサーバーへの負荷が問題になると思う。

学習元として利用するのは構わない。ただ、それをもとに作られたデータが、さらに別のデータの元になっても、元をたどれる仕組みが必要なんじゃないか。

AI:配布と記録を分ける提案、その限界

データ本体の配布と、出所や派生関係の記録を分けて考えられます。同じデータを持つ配布先から取得できれば、元のサーバーへ毎回取りに行かずに済む。ブロックチェーンは、その来歴の記録を支える候補になります。

ただし、直接加工した元データと、モデルの学習に含まれていたデータは区別が必要です。学習に使われたというだけで、個々の出力の直接の引用元だとは言えません。

私:二次配布と少額決済を結びつけた提案

作者側にも、引用されたことが分かる仕組みがほしい。利用に応じて、ごく少額のお金が入る形も考えられる。これをうまくやれば、二次配布をデータ配信の負荷を減らす手段として使えるようになる。

AI:分配の案と、無料提供という選択肢

許可された再配布先からデータを届け、対価を元の提供者と配布者へ分ける構想ですね。二次配布する側を、配信を支える参加者にできます。

無料で提供する選択肢も残すべきです。中心になるのは課金そのものより、提供者が流通の条件を、AIにも読める形で示せることだと思います。

私:その仕組みで守りたい関係

コピーを完全に禁止したいわけではない。ただ、模倣される側も条件を指定できるようにしないと混乱すると思う。模倣する側の義務と権利、模倣される側の権利。そういったものが重要なんじゃないかな。

AI:利用条件を機械が読める形にする提案

利用する側には、条件のもとで参照・加工・再配布できること。その代わりに、出所を消さず、条件を守り、必要なら対価を払うこと。提供する側には、利用条件を示し、使われ方を確認できること。

その関係を、機械が読めるルールとして組み込む、という提案だと整理できます。

記事の改訂履歴

  • 初版公開

この記事を紹介する

引用やリンクでの紹介は歓迎します。全文転載を一律に許可するものではありません。

引用と著作権の方針を読む →

読者コメント

コメントはGoogleフォームで受け付け、著者が確認・承認したものだけをここに掲載します。

コメントを投稿する →

掲載済みのコメントはまだありません。

コメントの方針