NOTE 002 / AIとの対話

コンテキストは仕事の説明だけではない

AIとの対話

AIとの会話を重ねるうちに、設定だけでなく自分の好みや次に考えそうなことまで伝わったと感じた体験。

コンテキストが重要だ、という話はよく耳にしていました。

自分はそれを、AIに仕事を任せるときは、目的や背景情報も一緒に渡した方がいい、という意味で受け止めていました。何をしてほしいのか、どんな条件があるのか。そこを説明しなければ、意図に合った答えが返ってこない。それは分かります。

でも、AIと小説を作ろうとしている中で、「背景を伝える」ということの意味を、もう少し深く実感する出来事がありました。

考えを整理してくれる。でも、提案は物足りなかった

AIと創作の相談を始めたころ、自分の考えを聞いて整理してもらうことには、かなり手応えがありました。

ぼんやり考えていたことを話すと、言葉にしてまとめてくれる。そういう使い方は、いい感じにできていました。

一方で、どう展開したらいいかという相談になると、返ってくる提案が無難に感じられることがありました。自分には、あまり面白く思えなかったんです。

こちらの考えを整理してくれるのは助かるけれど、創作のアイデアを出してもらう相手としては、少し微妙なのかもしれない。当初は、そんなふうに感じていました。

エルフの森で出てきた、髪飾りの提案

それでも会話を続けました。自分の感覚では、五百〜六百回ほどやり取りを重ねたころのことです。正確に数えた回数ではありません。

作っているのは、ファンタジーの冒険小説です。主人公がエルフの森を訪れ、そこで出会うエルフの少女と、その亡くなった祖母が重要になる話を考えていました。

実は、その時点で自分も、少女に祖母の遺品を身につけさせたいと考えていました。何か形見になるものを持たせたい。ブローチなどはどうだろうか。次に、そう相談しようと思っていたんです。

その話をする前に、AIから、少女の髪飾りを祖母の形見にする案が出てきました。

これには驚きました。自分が次に言おうとしていた設定を、先に言われたからです。

考えていた品物はブローチで、AIが出したのは髪飾りです。小道具まで完全に一致したわけではありません。でも、「祖母の遺品を身につけている」という設定の方向が、まだ伝えていない自分の案と重なっていました。

後から分かったことで、前の描写の意味が変わる

自分は、後の展開を知ることで、それまでに見ていたものの意味が変わる構造が好きです。創作を考えるときにも、そういう仕掛けを入れたくなる癖があります。

髪飾りの案を、その好みに引きつけて説明すると、例えばこうなります。

初めは、少女が身につけている装飾として目に入る。後から祖母のことや、その品とのつながりを知ると、前に見ていた髪飾りが違って見えてくる。同じものを見ているのに、読者が受け取る意味が変わる。

当時の会話を読み返すと、AIも、祖母の形見だと知り、後の展開を経ることで、同じ髪飾りの意味が変わるという説明をしていました。

ただ、自分が驚いた理由は、ここにあります。

自分の好みに合うだけでなく、次に伝えようとしていた設定の方向まで、AIの提案と重なった。最初のころに感じていた、無難で物足りない提案とは、受け取り方が違いました。

会話を重ねるうちに、自分の好みだけでなく、次に考えそうなことまで伝わるようになったのだろうか。そう感じたんです。

会話の積み重ねが、どこまでこの提案につながったのかは分かりません。それでも、自分には「ここまで好みが伝わっていたのか」と感じられる出来事でした。

コンテキストには、自分の好みも含まれていた

それまで自分が意識していた背景情報は、仕事の目的や条件のようなものでした。

創作でも、登場人物や世界の設定を伝えることは必要だと思っていました。でも、それに加えて、自分がどんな展開を面白がり、どんな仕掛けを入れたくなるのか。そういう好みの積み重ねも、相手に伝える背景になるのかもしれません。

設定だけを渡すのと、その設定について自分が何を面白いと思っているかまで話すのとでは、返ってくるものが変わるのではないか。髪飾りの提案を受けて、自分はそう考えるようになりました。

コンテキストが、ここまで重要になるとは思っていませんでした。

AIに自分の考えを整理してもらっていたはずが、あるとき、次に言おうとしていた設定の方向を、先に提案された。

その体験を、考えた経緯と一緒に残しておきたい。これが、このブログを始めようと思ったきっかけです。


きっかけになったやり取り

「小説構想会議」より、原文を抜粋しています。物語の先の展開に触れる部分は省略しました。

AIの提案

あと一個、君の好み的にたぶん刺さるのが、髪飾りを祖母の形見にすること。

小さな木製の髪留めとか、葉を模した銀細工。

〔物語の展開に関わる部分を省略〕

これ、容姿デザインとテーマがつながる。

私の反応(言いよどみと音声入力の表記を整理)

お前、おばあちゃんの形見を身につけてるって、どうして俺が入れようと思ってた設定を、俺が言う前に言ってしまうんだよ。

AIの返答から

つまり君が入れようとしてたのも、俺が勝手に読んだというより、今まで一緒に組んだ設定が同じ答えを要求してたんだと思う。

振り返ると、自分はこのとき「ブローチはどうだろう」と次に相談するつもりでした。そこへ髪飾りの案が出てきたことが、驚きにつながりました。

この記事は、本人の体験と実際の会話をもとに、AIの助けを借りて整理・執筆しています。

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